静岡のお茶は、金色に輝く

かつての私のように、家に急須なんてないし、緑茶を飲むのは蕎麦屋か寿司屋ぐらい、という人もいるのではないだろうか。そんな方がこの記事にたどり着いていたら、とても嬉しい。静岡で飲むお茶は、ぼんやりイメージしているお茶とはちょっと違う。ぜひ一度、静岡に”本当に美味しいお茶”を飲みに来てほしい。

静岡のお茶は、金色に輝く

山には茶畑

両河内(りょうごうち)・杉尾山の展望所からの景色。標高の高さを実感できる。
両河内(りょうごうち)・杉尾山の展望所からの景色。標高の高さを実感できる。
斜面を刻むような茶畑の畝が美しい。
斜面を刻むような茶畑の畝が美しい。
新茶の時期(4月下旬~5月上旬)の茶畑では、萌黄色の新芽をみることができる。
新茶の時期(4月下旬~5月上旬)の茶畑では、萌黄色の新芽をみることができる。
新茶シーズンには、静岡市内の様々な場所で茶摘みの機会もある
新茶シーズンには、静岡市内の様々な場所で茶摘みの機会もある

静岡はお茶王国だ。JR静岡駅のロータリーにも、実は茶畑がある。遠目だとツツジの仲間の植栽っぽいのでわかりづらいけれど、北口側にあるので、探してみてほしい。

さすがにロータリーに植えられたものは観賞用だけど、街から少し山側に向かえば、あらゆる斜面にパッチ状に規則正しい緑色の畝が見つかるはず。それが茶畑だ。どうやって収穫するのか不思議になるような急傾斜の狭い土地にも植えられていたりする。

明治維新以降、斜面では様々な作物がためされたのだけど、その中でもみかんとお茶は清水港からの輸出も相まって、爆発的に静岡市内で広がった。戦後も引き続き成長産業で、昭和の後期までは見渡す限りの山の斜面がみかんかお茶畑だったのだ。

平成にはいり時代の変化とともに景色も変わりつつあるけれど、いまも山に目を向ければ茶畑に出会える。

茶畑を訪れたいなら「森内茶農園ファームビジットツアー」へ

日本茶インストラクターのガイドさんに、森内茶農園さんの茶畑を案内いただき、そのあと実際にその畑で作られたお茶をいただくツアー。間近で見る畑は、かまぼこ型に丁寧に刈り込まれていて、思わず「美しい」とつぶやいてしまうほど。茶畑を歩いたあとはお茶の飲み比べ体験へ。同じ生産者さんがつくるお茶でも、品種や加工方法などが異なるだけで、香りや味わいが驚くほど変わる。ガイドさんのお茶愛と知識の深さに導かれ、お茶の世界の奥行を垣間見ることができる。


  • 申し込み:希望日の3日前までに、HPから事前予約
  • 所要時間:90分
茶畑を訪れたいなら「森内茶農園ファームビジットツアー」へ

街には「茶町」

茶町の道標
茶町の道標
茶町には50軒以上の茶商が集積している。各茶商さんのお店には、必ずお茶の品質や特徴を見極める「拝見場(はいけんば)」がある。すごく素敵な空間なので、興味のある人は調べてみてほしい。
茶町には50軒以上の茶商が集積している。各茶商さんのお店には、必ずお茶の品質や特徴を見極める「拝見場(はいけんば)」がある。すごく素敵な空間なので、興味のある人は調べてみてほしい。

静岡駅から徒歩20分ほどの場所に「茶町」というエリアもある。通称ではなくて、ちゃんと住所として「茶町(ちゃまち)」だ。

ここは一次加工された茶葉(荒茶という)が集まり、取引される問屋街。生産者やそれを中継ぎする人達が茶町に荒茶を持ち込み、茶商たちが買い、仕上げ加工やブレンド(合組み)をして、私たちの飲むようなお茶になる。


茶町でお茶について知りたいなら「お茶と暮らしの店 茶屋すずわ」さんへ

創業170年以上の老舗茶商・鈴和商店さんが、2019年にはじめた「茶屋すずわ」。店内には様々なお茶が並ぶのはもちろん、暮らしに取り入れたくなる素敵な茶器なども揃っている。何より、店主の渥美さんからお茶についてお話しが聞けた人はラッキー。お茶そのものはもちろん、お茶を取り巻く文化まで、誰よりも深く愛している方だ。

そして不定期に開催されている「拝見場ワークショップ」がおススメ。プロがお茶の品質を見極める「拝見場」に入らせていただき、いろんな種類の茶葉の香りや味を比べながら、自分だけのお気に入りの一杯をブレンドする特別な体験ができる。


  • 住所:静岡市葵区安西3-68 鈴和商店
  • 営業日:月、火、水、金10〜16時半、第二、四土曜日11〜18時(休業日:木、土、日、祝日)

茶町でお茶について知りたいなら「お茶と暮らしの店 茶屋すずわ」さんへ

静岡で飲むお茶は美味しい

浅蒸しのお茶の色
浅蒸しのお茶の色

ところで、「日本茶」と聞くと何色を思い浮かべるだろうか。きっと緑色をイメージする方が多いと思う。確かに緑茶とも呼ばれるので間違いはないのだけど、実は静岡市のお茶の一部は、金色に輝く。山間部で育てた柔らかいお茶の葉を浅蒸しで丁寧に加工したものは、出汁のような強烈な旨味と甘さを感じるお茶になる。

初めて飲んだとき、あまりの旨味に目をカッと見開いてしまった。そしてそういうお茶は、緑というよりは透き通った黄色をしている。


もちろん深い緑色のお茶(深蒸し茶)もどっしりしたお茶の渋みと飲みごたえで大好きだ。
でも、この金色のお茶は、静岡でしかなかなか出会えない。せっかく静岡に来たなら、飲んだことがないであろう浅蒸し茶も飲んでほしい。

ぜひともお茶屋さんで「浅蒸しのお茶をください」と伝えてみてほしい。


注)浅蒸しの茶葉をもし買ったなら、家で飲むときは、茶葉はたっぷり、60℃ほどまで湯温を下げていれてみてほしい。100℃だと苦いのだけど、低温にするほど旨味がしっかり抽出される。水出しで一晩冷蔵庫においておくのもおススメ。


お茶が飲める場所を探すなら「静岡お茶café」

JR静岡駅を中心に、市内のお茶が飲めるカフェをまとめたWEBサイト。県外から友人が来るときは、どこのお茶屋さんに案内しようか、このサイトでいつも検討している。

もっといろんなお茶体験

お茶はどんな場所で誰と楽しむか、も大事なポイント。おススメのお茶体験ができる場所をご紹介したい。


まずはJR静岡駅からは車で20分ほどの立地にある、古民家をリノベした日本茶カフェ「茶の芽」さん。

茶商の森田製茶さんが手がけるだけあって、急須で飲む体験を大事にされている。たくさんのお茶のメニューやおだんご、夏は茶氷を楽しむことができる。



里山の景色の中で本格お茶体験「茶の芽」さん

写真は夏限定メニューのレモン抹茶かき氷。レモンジャムとマスカルポーネがトッピングされていて、混ぜながらいただくと、お茶の香りとクリーミーな甘みのバランスが絶妙でとっても美味しい。かき氷に温かいお茶を付けられるのも、お茶屋さんならではだなぁと思う。すごくかき氷が食べやすくなる。


  • 住所:静岡県静岡市葵区大原1827
  • 営業時間:10時〜17時 L.O16時30分
  • 休業日:月曜、第4火曜(月曜祝日の場合翌日)


里山の景色の中で本格お茶体験「茶の芽」さん

少し特別なディナーをしたいときには、ティーペアリングもおすすめだ。

JR静岡駅から徒歩10分ほど、鷹匠(たかじょう)エリアにある「ノンエイジ コンセントレ」さん。

コース料理に併せて様々なアレンジティーを出していただける。料理単体でも絶品なのだけど、お茶と合わせることで一段深い味わいを体験できたり、次の料理へスムーズに繋がる。



料理とお茶の最高の出会いを体験できる「NO’AGE concentré(ノンエイジ コンセントレ)」さん

ランチとディナーどちらもティーペアリングのコースがある。その日の食材に併せて、お茶のメニューもかわるそうで、記念日など口実をつけては定期的に訪れたいお店だ。


  • 住所:静岡県静岡市葵区鷹匠2-5-12 1F
  • 営業:予約制
  • 定休日:日曜、月曜日(連休の際は、月曜、火曜日のお休み)

料理とお茶の最高の出会いを体験できる「NO’AGE concentré(ノンエイジ コンセントレ)」さん

静岡では特別なお茶の体験をできる場所がたくさんある。でも、お茶は特別なものではなくて、「日常茶飯事」というように、日々の暮らしのなかにあるもの。

静岡を帰る時には、急須とたくさんの茶葉をお土産に買って、家でじゃぶじゃぶとお茶を淹れるようになってもらえると嬉しい。

あと周りの人へのお土産にも、茶葉を!


ライター紹介:阪口せりな

関西出身、都内で働いたあと静岡で暮らしたくなり、引っ越してきました。(もう8年経ちました!)

最近は、静岡の柑橘栽培史や興津の郷土史を調べたり、少しマニアックな地域の産業や歴史を深堀りすることが趣味です。

そんな内容を絡めて、静岡のおもしろさや豊かさを発信していきたいと思います。

ライター紹介:阪口せりな
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