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本物はいらないと思った。模型が欲しくなった。

伝統工芸の流れを汲む模型の世界首都

 模型店内に陳列されたプラモデルの箱絵。 “ボックスアート” とも呼ばれるその見事なイラストレーションには、大人になった今でも、胸の高鳴る思いで見入ってしまう。
 描いてきた絵師たちには、戦前から少年雑誌で挿絵画家として活躍してきた人もいた。戦後はプラモデルも活躍の場となり、模型店内が絵師たちのギャラリーとなって、魅了された子供たちが小づかいやお年玉を貯めてはそれを買い求めた。
 子供のころ、接着剤にまみれてなんとか完成させたゼロ戦。手に持って掲げれば、箱絵の空を飛びまわる勇姿そのものと映ったものだ。
 それもそのはず。日本が誇る模型メーカーが子供たちの夢をかなえるべく、世界最高の製品を提供してきたからだ。アオシマ、タミヤ、ハセガワ、バンダイといった世界ブランドは、ここ静岡市と周辺に集中する。
  “模型の世界首都” 。そんな称号もある、駿府静岡市。ここに来て、また模型が欲しくなった。

画像提供:株式会社タミヤ

フォトツアー

徳川家康公の大御所時代には、事実上日本の首都だった駿府には、優れた職人が集まり技を競ったそうだ。これは駿河の伝統工芸「駿河竹千筋細工」。
これは漆器。「駿河漆器」「駿河蒔絵」など、家康公より前の今川時代から行われていたという。
時代は飛んで現代。静岡駅南口にある「静岡ホビースクエア」にやってきた。
これはアオシマの「はやぶさ」。日本中が感動した小惑星探査機だ。
木製模型のブランド、ウディジョーの「彦根城」。伝統工芸そのものにも見える。
エブロのミニカー「ホンダS800」。本物のヴィンテージカーも買えなくはないが、これならメンテナンスフリーだ。
タミヤのフェラーリ。実物の縮小版が模型、ではあるのだが、単に縮小しただけでは実物そっくりの印象にはならないらしい。
これはハセガワの「フォッカー Dr.I」。8分の1と大きく、博物館に展示できそうな精巧なもの。
これは、以前東静岡駅前に実物大が登場したバンダイの「ガンプラ」。これら模型メーカーが、静岡市に集まっている。
ホビーの大きな展示会は、静岡市で毎年2回開催される。5月の「静岡ホビーショー」、12月の「クリスマスフェスタ」。
全国から、世界から、ファンや業者が集まってくる。何しろここは「模型の世界首都」なのだ。
子供のころに憧れたゼロ戦や自動車が欲しくなった。だけどもちろん、本物は要らない。模型が欲しい。

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